ももだよりMomo dayori

2021/12/01

高橋 忠吉さん

栽培農家、そして育種家として

伊達市月舘町の静かな山間をしばらく進むと、小高い場所に見えてくるのが高橋忠吉さんの桃の圃場です。高橋さんが作る桃は、味が良く見た目も美しい、食のプロも唸らせる逸品。都内の有名スイーツ店でも指名買いされています。ふくしまの桃の主力品種「あかつき」を選果場に出荷した場合、最上級ランクの「特秀品」となる率は通常6割ですが、高橋さんの桃は、その多くが特秀品となることからも、出来の良さがわかります。育種家としても有名で、今までに作った品種は15種類にも及びます。さぞかし歴史ある桃農家なのだろうと思いきや、桃づくりは高橋さんが初代。18歳の時に始めたと言うから驚きです。1.5ヘクタールの圃場で栽培する桃は十数種類、約300本。栽培を始めてから50年以上、常に考え、学び、情熱を注ぎ、おいしい桃づくりに取り組んでいます。

すべてはおいしい桃を作るため

「私は学歴はありません。でも知識はあります」。剪定の仕方を学びに指導者のもとへ通い、栽培のために「2000冊は本を読んだ」と高橋さんは話します。すべてはおいしい桃を作るため。虫がついたり病気になれば、なぜそうなるのか研究しています。桃農家としての第一人者となった今でも常に失敗するそうです。失敗を恐れず、空や土や風を見つめながら桃にひたむきな情を注ぎ続けています。

豊かな里山の土が桃を育てる

桃の樹は寿命が短く、次々植え替えていく必要があります。「土づくりがうまくいかず樹を枯らせてしまったこともある。木炭を入れるなど工夫してもダメだった」と苦労をにじませます。たどり着いた答えが、土を入れ替えること。高橋さんの圃場の周りは豊かな里山です。その里山の土を持ってきて入れ替えます。骨の折れる作業ですが、これにより樹勢が良くなり実も早くできるそうです。また実は病害虫などから守るため二重袋をかけ、タイミングよく外袋をはずして日光に当て、色鮮やかに仕上げています。

新品種への挑戦

「これだけの品種ができるとは思わなかった。桃から生きる幸せを感じています」と高橋さん。誕生させた品種の中でも「理想の桃」と高橋さんが自信を持って薦める「夏の陽」は、糖度が高く果肉は緻密、色が濃く見た目も美しいため贈答品に最適です。今後の新品種は?と尋ねると「ありますよ」とニッコリ。どんな桃が伊達から誕生するのか、今から期待せずにはいられません。

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