ももだよりMomo dayori

2021/12/01

三瓶 一彦さん

桃源郷の郷

伊達市は江戸時代、蚕の種(卵)を作り蚕を育て、良質な生糸を生産する先進地として栄えてきた歴史があり、農家の多くは養蚕業を営んできました。伊達市保原町で桃とイチゴを生産する農家、三瓶一彦さんの家も、以前は養蚕業を営み、蚕の種を売る蚕種屋(たねや)さんだったそうです。時代の流れとともに伊達市は養蚕業から果樹栽培へと変わり、生産者の努力により日本有数の果樹の産地となりました。桃の花の咲く時期は鮮やかな桃色が地域を彩り、春の光景は、さながら桃源郷です。

先進地や市場を視察

三瓶さんは高校卒業後に農業の専門学校に進学し、農業全般を学び家業を継ぎました。現在は家族4人で果樹の栽培に取り組んでいます。栽培するのはふくしまを代表する品種の「あかつき」と、あかつきにも負けない高糖度の優良品種「ふくあかり」の2品種。おいしい桃を届けるため先進地や市場を視察し、生産技術の向上を図り、農業経営にも活かしています。

樹が持つ力を引き出す

剪定では桃の樹が持つ力を最大限引き出せるよう、樹液の流れを考えながら行っています。人の体が血液の循環により末端まで栄養が運ばれるように、果樹も枝の先端までスムーズに栄養が届くよう、強い枝、弱い枝を見極めながら、剪定するのが重要だそう。経験と技術が活かされる作業です。適切な剪定により、枝葉が成長した時に日光も全体に行き渡るようになり、安定して大きくおいしい桃の収穫につながっています。

桃の郷を次世代へ

近年は温暖化の影響により収穫時期が前進化しているそうです。「贈答などで買っていただく8月の需要期に応えたい」と、あかつきをメインに、収穫期間に幅のある優良品種の栽培も視野に入れています。現在、三瓶さんの息子さんが果樹の生産を受け継ぐため研修中だそう。「自分たちで生み出していかなければいけない仕事。大変なことに足を突っ込んだなと思うが、農業に関心を持ってくれたのはうれしい」と三瓶さんは笑顔をみせます。桃が創る理想郷は、次世代へと確実に受け継がれています。

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