お正月のおせち料理にも不老長寿の縁起物として重宝されているみどり色の小さい果実「早摘み桃のシロップ漬け」。あまり馴染みがない早摘み桃ですが、その名の通り桃がまだ固く小さい時期に収穫したもので、それを柔らかく加工し甘みをつけたのが「早摘み桃のシロップ漬け」です。
製造・販売しているあぶくま食品株式会社の始まりは、別会社で肥料の販売をしており、農家さんの売り物にならず廃棄されるきゅうりから漬物の製造・販売を始めたのがきっかけでした。
その後、漬物製造の技術を高め製造量も増えていく中で、摘果※桃を「なんとか利用出来ないものか」と模索を始めました。そこから地域資源を活用する事業を計画し、国や県からの認定を受け地元大学の産学提携のもと、2年ほどの開発期間を経て平成21年(2008年)に「早摘み桃のシロップ漬け」が生まれました。
また大学との共同研究では、早摘み桃に含まれるセラミドの含有量が非常に高いことが明らかになりました。セラミドといえば美肌効果など肌に良い効果をもたらす成分。生食用の桃より小さいので、手軽に1年中美味しく食べられるのは嬉しい方も多いのではないでしょうか。
本来食べることのない摘果桃は、収穫よりだいぶ前の生育段階の実のため硬く甘みもありません。
その状態から試行錯誤を繰り返して独自製法を開発したことで、食べた時の口当たりが良く、ジューシーで柔らかで歯応えのある食感に変化しました。マスカットのようなきれいなグリーンの色も独自製法の賜物です。
特許取得の製法のため皮むきの製法は見ることが出来ませんが、皮むきが終わった桃を煮込む前の下処理と選別も一つ一つ丁寧に行われています。
その後食感や色を生み出す「煮込み」の工程を経て、袋詰めされた早摘み桃にシロップが注がれ一定時間でシロップが染み込むと完成です。ここから検査・検品などさまざまな工程を経て出荷されます。
隣に並ぶ「桃のシロップ漬け」は、福島の代表品種「あかつき」を中心に使用し、福島の人が好んで食べる「硬い桃」のようなシャキシャキした食感の桃のシロップ漬けです。
販売してから間もなく「早摘み桃のシロップ漬け」は農林水産省総合食料局長賞を受賞。地域資源の活用では先駆けであったことや、早摘み桃の加工技術にも注目が集まり、県外の事業者からの問い合わせや相談も多く寄せられています。
廃棄されるはずだった早摘み桃も、日本の文化おせち料理にかかせない一品に。
それは特産品である桃と地域への想い、事業者の着眼点、これまでに培った技術、地元の専門機関との連携、それぞれがマッチして出来上がった結晶に違いありません。
伊達市のふるさと納税返礼品になっています。
『早摘み桃のシロップ漬け』のふるさと納税はこちら
※摘果:桃の生育過程で行う大事な工程で、余分な実を間引くことで桃が成長しやすくなります。(桃の収穫までの1年を知ることができる「農家の12ヶ月」もぜひご覧ください)