インタビューinterview

2021/12/1

ふくしま未来農業協同組合 代表理事組合長 数又 清市

ふくしま未来農業協同組合 代表理事組合長からのメッセージ

伊達市は奥羽山脈と阿武隈高地に囲まれた盆地に位置します。戦前は養蚕が盛んな地域でしたが時代の変化とともに果樹栽培に変わり、「くだもの王国ふくしま」を確立しました。現在では桃やリンゴ、カキ、ブドウなど約56万本を栽培しています。肥沃な土壌と盆地特有の朝晩の寒暖差は果樹栽培に適しており、中でも桃は全国第2位の生産量を誇ります。期間を通して多品種栽培に取り組み、7月から10月まで楽しんでいただけるのも伊達の桃の特徴です。

桃の栽培は明治24年頃、欧米や中国から輸入された品種により始まりました。昭和30年から40年代に桑園からの転換や山間地への新植などにより面積を拡大させてきましたが、当時栽培していたのは加工用の桃で、昭和50年代から生食用の桃の栽培が本格化し今に至ります。代表品種の「あかつき」は、袋掛けしない無袋(むたい)栽培のため色が濃く、肉厚で肉質は緻密、糖度が高く酸味と甘味のバランスの優れたブランド桃です。「白桃」と「白鳳」の掛け合わせで、全国で試験栽培されたものの小玉で商品化には至らない品種でしたが、研究を重ね、唯一ふくしまで立派な桃が収穫できるようになりました。ふくしまを代表する祭りのひとつ「信夫三山暁(しのぶさんざんあかつき)まいり」にちなみ「あかつき」と命名されています。

伊達の桃は光センサーで選果しています。桃の内部まで糖度を計測し、部位による甘味のバラツキが少ない最良の桃をお届けしています。「あかつき」のプレミアムブランド「伊達の蜜桃」は糖度基準14度の高品質桃で、これはあかつきの中でも1000個に1個、わずか0.1パーセントしかありません。通常の桃は基準が10度ほどですから違いは明らか。ぜひ食べていただきたい伊達の桃の最高峰です。

近年、近隣や他県から新規就農を希望し移住される方もおり、行政と連携しながら新規就農者を支える仕組みづくりを進めています。先端技術の活用等により生産性の向上と農業に参入しやすい環境づくりを整備し、日本一のおいしい桃の産地として、地域の農業の振興と活性化に貢献していきたいと思っています。